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売りたい人
夫の転勤が理由で、以前購入した分譲マンションを一時的に賃貸に出していた。
将来的にはマンションに戻る予定だったけど、諸事情があって結局戻れないことに。
賃貸に出しているマンションは売却してしまいたいけど、賃貸中でも売却ってできるのかな?
そういった方の疑問に答えていきます。
まず、結論として賃貸中のマンションを売却することは可能です。
(借主がいる状態でマンションを売却することを「オーナーチェンジ」といいます。)
借り主からすればマンションの保有者が変わっても特に影響はなく、事前に通知する必要もありません。
ただし、分譲マンションを貸し出している状況によっては、いくつか注意すべきポイントもあります。
今回の記事では、
- ・賃貸中のマンションを売る際の注意点
- ・借主がいる状態といない状態での売却の違い
- ・賃貸中のマンションを高く売却する方法
の3点を中心に話を進めていきます。
この記事を読んでいただければ、賃貸中の物件売却に関する疑問は、すべて解決できます!
それでは本文にいきましょう。
もくじ
住宅ローンを借りて購入したマンションは勝手に人に貸してはいけません!
賃貸中のマンション売却について話す前に、一つ大事な話をしておきます。
あなたは住宅ローンを借りて購入したマンションを、銀行の許可を取らず他の人に貸し出していませんか?
銀行にもよりますが、住宅ローンで取得した住居を勝手に貸し出すと、契約違反になる可能性があります。
なぜなら、住宅ローンはあくまでも居住用として考えた上で、融資額・返済期間・金利がきまっているからです。
売りたい人
居住用のマンションを購入するので、住宅ローンを組みたいのですが。
といってローンを組んだにも関わらず、蓋をあけてみれば賃貸用として運用をしている。
そうなれば、契約違反として銀行から一括返済を求められるケースもあります。
ただし冒頭の女性のように、一時的な転勤等を理由にした賃貸であれば、銀行も許可を出すケースが多いです。
いずれにせよ借り入れをしている金融機関から必ず許可を得るようにしましょう。
住宅ローンで購入したマンションを人に貸すためには?
住宅ローンで購入したマンションを人に貸し出す場合には、事前にローンを組んだ銀行に相談に行きましょう。
賃貸を行う理由やあなたの属性(職業、年収、資産、勤続年数など)によっては、住宅ローンのまま貸し出せる可能性もあります。
もし断られた場合は、住宅ローンから賃貸用のアパートローンに切り替えるか、他の金融機関に借り変えることが必要です。
もしローンを借り換える場合は、保証料や印紙代、抵当権抹消費用に、登録免許税等の諸費用で、別途数十万円かかることも覚えておいてください。
あなたのマンションはそもそも売却できる状態ですか?
賃貸中の分譲マンションを売る時に注意してほしいことがあります。
それは、「売却金額(+自己資金や借り入れ)が、ローンの残債を上回るかどうか」ということです。
売却時にローンを一括で返済できなければ、マンションに設定されている抵当権を外すことができません。
抵当権・・・ローンを貸し出している金融機関が、債務者の返済が滞ったときに、不動産を担保にして債権を回収できる権利のこと。
例えば、マンションのローンが2000万円残っていて、売却金額は1500万円、返済に充てられる自己資金が100万円しかなければ、一括で返済することはできませんよね。
競売や任意売却を利用して売却する方法もありますが、あなたの信用情報に傷がついてしまうため、新しくローンを組んだりということが一定期間できなくなります。
関連記事→任意売却でローンが残っているマンションを売却!~注意点や流れ・デメリットを解説~
マンションを査定した上でいくらで売れるのかを調べましょう
とはいっても、実際に売却に出してみないといくらで売れるのか分かりません。
そこで実行して欲しいのは、あなたのマンションを不動産業者に査定してもらうということ。
1つの不動産会社だけに査定依頼をしても信ぴょう性が低いので、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼した上で平均値を取れば、より多くの不動産業者の評価が基になった査定額のため、信ぴょう性が高まります。
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例えば6社に査定依頼をして上記のような査定結果が出たとしましょう。
その場合の6社の査定額の平均は、
「2800万円+3200万円+2650万円+3050万+3000万+3350万÷6=約3000万円」
となります。
不動産会社が提示する査定金額は、「3カ月間あれば売れるであろう価格」と言われているので、この金額がローン残債を上回っているのであれば売却可能といえるでしょう。
一括無料査定サイトをつかえば、簡単に査定依頼できます
さきほどの例では6社に査定の依頼をしましたが、一つ一つの会社を査定を依頼するのは手間ですよね?
なので、最近主流になっている一括無料査定サイトを活用してみてください。
一括無料査定サイトは、ネット上で物件情報を入力するだけで、簡単に複数の会社から見積もりが届きます。
1社ごとに査定を依頼する手間が省けるので、査定を希望する場合はぜひ活用してみてください。
おすすめの不動産一括査定サイト「HOME4U」
GoogleやYahooで「不動産一括査定サイト」と検索すると、たくさんの査定サイトがヒットするはずです。
どの査定サイトを選べばいいのか悩む人に、筆者がおすすめする査定サイト「HOME4U」を紹介しておきます。
HOME4Uは18年前から運営している一括査定サイトの老舗です。
運営しているのは大手IT企業のNTTデータグループなので、実績・安心感ともに申し分ありません。
地方の物件では査定に対応できないこともありますが、まずHOME4Uを試しておけば間違いないですよ。
もし、他の不動産一括査定サイトも比較した上で決めたい人は、下記の関連記事も参考にしてみて下さい。
関連記事→不動産一括査定サイトのおすすめ5選+評判の30サイトを紹介!【総まとめ】
賃貸中の分譲マンションを売る時の4つの注意点・ポイント
賃貸中のマンション売却する際に気を付けてほしい4つの注意点があります。
4つの注意点は以下の通りです。
- 借主から預かっている賃料・敷金を引き継ぐ
- 室内の状況についての取り決めをしておく
- 管理会社の引継ぎ・解約を行っておく
- 「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」を締結し借り主に告知する
それでは順番に説明をしていきます。
①借主から預かっている賃料・敷金を引き継ぐ
マンションを貸し出している入居者さんから、入居時に「敷金」を預かっているはずです。
「敷金」は本来入居者が退去する際に、部屋の清掃代や修理費を差し引いて入居者に返還されるもの。
あなたが敷金をそのまま持っていたら、次のオーナーは自腹で敷金を返済しなくてはいけません。
必ず新しいオーナーと話し合いを持ったのち、敷金の引継ぎを行いましょう。
また、借主は来月分の賃料を前もって支払っています。
5月に支払っている賃料は、実質6月分の賃料ということです。
あなたが5月末にマンションを売却し、すでに6月分の料金を借主から預かっている場合、6月からの新オーナーに賃料を渡さなければいけません。
タイミングによって、賃料の支払いの有無は変わってきますが、忘れず確認しておきましょう。
②室内の設備に関して取り決めをしておく
賃貸中のマンションを売却する際は、室内の設備状況に関してしっかり取り決めをしておきましょう。
借り主からすれば、貸し主都合での売却で勝手に部屋に立ち入られてはたまりませんよね?
そのため、買い主は内見をしないまま購入するかどうか決める必要があります。
売却後に入居者が退去したとき、室内の状態が著しく悪い場合、売り主と買い主のどちらが補修費用を負担するのかで争うケースもあるので。
内見はできないとしても、過去のリフォームや修繕の履歴があれば、買主に提出しておくといいでしょう。
③管理会社の引継ぎ・解約を行っておく
マンションを賃貸人している人の多くは、管理業者に入居者とのやり取りを委託しているのではないでしょうか?
その場合は新しい所有者と話しあって、管理会社の引き継ぎを行う必要があります。
新しい所有者がそのままの管理会社で構わないという話であれば、契約を引き継ぐ形です。
新しい所有者が管理会社を変えたい、自主管理をしたいという話であれば、管理会社と契約を解消する必要があります。
それ以外にも、公共料金の引き継ぎもあるため、変更するポイントに漏れがないよう進めていきましょう。
④「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」を締結し借り主に告知する
売却する際に、新しいオーナーとの間で結んだ契約や取り決めを、借主に対して告知する必要があります。
「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」を借主に送っておくことで、敷金や賃料の振込先等の問題を避けることができます。
「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」に記載されている事項は、主に以下の項目です。
・誰から誰に所有権が移ったのか
・敷金等の取扱いについて
・新しい賃料の振込先
・契約内容の確認、変更
・新しい所有者の情報、連絡先
借主との問題を避けるためにも、情報の共有はしっかりと行っておきましょう。
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サブリース契約を結んでいる分譲マンションを売る時の注意点
マンションを賃貸している人の中には、不動産業者とサブリース契約を結んでいる場合もあるかと思います。
サブリース契約・・・不動産業者がオーナーから物件を借り上げ、入居者との間で行われる事務作業を代行してくれる上に、空室時でも一定額の賃料を保証してくれるサービス。
入居者の家賃の2割ほどを手数料として、不動産業者が受け取る。
サブリース契約を結んでいるマンションは、通常よりも売却しづらい傾向があるのです。
サブリース契約を結んでいる物件が売れにくい理由
サブリース契約を結んでいるマンションを売りにくい理由は、「サブリース契約が次の所有者にも引き継がれるから」です。
そもそもサブリース契約は、賃料の20%ほどの手数料を支払うことで、空室であっても一定額の家賃を保証し、管理も行ってくれるシステム。
一見便利な仕組みですが、20%の手数料を払ったうえでさらにローンの返済や経費を支払うと、手残りがかなり減ってしまいますよね?
空室時でも保証賃料が支払われるメリットは確かにありますが、保証賃料の金額は数年後に下げられてしまうリスクもあります。
売りたい人
サブリース契約があると売れにくくなるのであれば、サブリース契約を解除すればいいんじゃないの?
そう思われる方もいるかもしれませんが、サブリース契約をオーナーから一方的に解約するのは難しいのです。
なぜなら、サブリース契約=賃貸借契約とみなされているから。
いわば、物件の借主と貸主と同じ関係なんですね。
下記の図を見てみてください。
マンションのオーナーとサブリース会社の関係は、貸主と借主です。
サブリース会社と入居者の関係も、貸主と借主にあたります。
サブリース業者はオーナーから見ると借主であり、貸主であるオーナーよりも法律で強く保護されています。
サブリース業者からの解約は簡単に実行できるのに、オーナーから解約を行う場合は「正当事由(契約解除を行う上での正当な理由)」があったうえで、さらに違約金を支払うことが多いです。
こういった理由から、サブリース契約の物件は不動産投資家から敬遠されることがあります。
売却の難しいサブリース物件ですが、できるだけ高く売るための方法も別記事で書いたので、併せて参考にしてください。
関連記事→【必読】サブリース契約中のマンションを高く売る方法とは?
賃貸中の分譲マンションを高く売却する3つの方法
続いては、賃貸中のマンションを少しでも高く売却する3つの方法についてお話します。
3つの方法とは、以下の通りです。
- 借主が退去したタイミングで居住用として売却する
- 借主に購入意欲がないか打診する
- 信頼できる不動産会社に売却を依頼する
それぞれ解説します。
1、借主が退去したタイミングで居住用として売却する
借主がいる状態のマンションは、「収益用物件(自分が住むためではなく、賃料を得るための物件)」としての販売します。
「収益用物件」の場合、評価する方法として「収益還元法」が使われ、将来的にその物件がいくらの収益を生み出すかというポイントで評価額が決まります。
借主がいない状態のマンションであれば、「居住用物件」として販売することも可能です。
居住用物件としての売却であれば、「取引事例比較法」と呼ばれる過去の類似物件の成約価格を基に値が決められ、一般的には「収益還元法」よりも高く評価される傾向があります。
3LDKのようなファミリー向けマンションであれば、空室時に「居住用物件」として売却した方が高く売れやすいです。
なぜなら、3LDKなどのファミリー向けの間取りは、賃貸需要より購入の需要が高いから。
逆に1Kやワンルームなどの単身者用マンションであれば、借り主がいる状態で「収益物件」として売りに出した方が高く売れるでしょう。
単身者用マンションは、購入する層よりも圧倒的に賃貸需要の方が高いので。
2、借主に購入意欲がないか打診する
冒頭の女性のようにファミリー向け物件を賃貸に出している場合、そのまま借主に購入を打診するのも一つです。
居住したまま持ち家にできるのは借主にとってメリットですし、ファミリー物件なら購入まで踏み切りやすいので。
住宅ローンの組み方にもよりますが、借主がこれまで払っていた賃料より、住宅ローン支払いの方が安くなるはずです。
いきなり市場に出して売却するよりもずっと確率が高く、早く売却できる可能性がありますよ。
3、信頼できる不動産会社に売却を依頼する
賃貸中のマンションの1室を売却する場合は、居住者がいて内見できないため、室内で工夫することができません。
そのため、高値売却の鍵を握るのは、仲介してくれる不動産会社です。
もっというと、信頼できる担当者を見つけることが高値売却の近道になります。
信頼できる不動産会社・担当者と巡り合うためには、複数の会社を比較・検討するほかありません。
さきほど、ローン残債の箇所でもお話しましたが、HOME4Uなどの一括査定サイトを活用すれば、簡単に複数の会社を比較できます。
やり取りが増えてしまうデメリットはありますが、その対価として数十万、数百万円の高く売れる可能性があるので、ぜひ面倒がらずに挑戦してみてください。
借主に退去してもらってからマンションを売る場合の手続き
ここまでは、賃貸中の分譲マンションを借り主が入居している状態で売却する前提で話を進めてきました。
では、借主に退去してもらってから売却するためにはどうすればいいのでしょうか?
借り主に退去してもらう場合の手続は、借り主との契約によって2パターンに分かれます。
- 定期借家契約を結んでいる場合
- 普通借家契約を結んでいる場合
それぞれ解説していきましょう。
1、定期借家契約を結んでいる場合の手続き
定期借家契約を結んでいる場合は、契約期間が来れば更新なしに借主は退去してくれます。
ただし、退去日の1年前から6か月前には必ず借主に事前通知をしなければいけません。

もし、事前通知を行わずに退去日を迎えたとしても、借主に退去をしてもらうことはできません。
事前通知をした日から数えて6か月後が退去日になるので、十分注意しましょう。
2、普通借家契約を結んでいる場合の手続き
厄介なのは、普通借家契約を結んでいる借り主の場合。
普通借家契約は、契約期間が終了しても、自動的に契約がに更新されてしまいます。(法定更新)
つまり、原則借主が自分から退去したいといわない限り、貸し主から一方的に退去させることはできないのです。
どうしても貸し主から退去を要求する場合は、
- 1年から6か月前には事前に通知を出す
- 退去を依頼する正当性のある「正当事由」を用意する
- 立ち退きに伴ってかかる費用を「立退料」で補填する
の3つの条件を押さえなければいけません。
ここでポイントになるのが、2の「正当事由」です。
事前に通知をしても、立ち退き料で補填をしても、正当事由がないまま立ち退かせることはできません。
では、実際にどのようなケースであれば、立ち退きを依頼する正当事由であると認められるのでしょうか?
正当事由に当てはまるケース
過去の判例で、立ち退きの正当事由として認められたケースをいくつか紹介しておきましょう。
・家が古くなってきたことを理由とした取り壊し、建て替え
・借主が暴力団の関係者だった場合
・賃料を滞納し、払い続けない悪質な入居者の場合
・入居者が騒音等の、他の住人に対して迷惑になる行為を繰り返す場合
・ごみを部屋の中にため込み、悪臭を発している場合
・オーナーが借金の返済のために家を売却する必要がある場合
上記はあくまでも一例ですが、借主側に問題がある場合か、貸主側に強い売却の理由がある場合は正当事由になる場合が多いです。
正当事由が不十分である場合は、その分を立ち退き料として払うことで補填するケースもあります。
他にも実際の判例を見てみたいという方は、RETIO(不動産適正取引推進機構)から過去の判例を閲覧できるので、参考にしてみてください。
立退料の相場は?
正当事由があったとしても、突然の立ち退きを宣告された借主は迷惑を被ります。
引っ越し先を探さなくてはいけませんし、その際の引っ越し費用や、新しい家の契約で支払う手数料や敷金・礼金なども必要です。
その費用を補完する目的として、貸し主は借主に立退料を支払います。
ちなみに立ち退き料はいくら支払うのが一般的なのでしょうか?
実は、立退料に相場は存在せず、完全にケースバイケースです。
借り主側に非がある場合は一円も払わなくてもいいケースあります。
ビジネスとして貸し出している物件の場合は、億を超える単位の立退料を支払うこともあります。
現実的な話としては、「借主が退去によって発生する損失+諸々の費用」を負担することが多いです。
立ち退き料に関しては、下記の記事でより詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事→【結局いくら?】マンションを売る際の賃借人立ち退き料の相場とは?
まとめ
今回の記事では、賃貸中の分譲マンションを売る際の手続きや注意点についてお話してきました。
賃貸中のマンション売却の一番の悩みどころは、「借り主がいる状態で売るか、退去してもらってから売るか」の判断です。
特に、普通借家契約での立ち退きはトラブルになりやすく、費用面での負担も大きくなります。
居住用で売る場合と、賃貸用で売る場合に、最終的にどちらが手残りが多いのかを見極めた上でベストな判断をしましょう。
