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中古マンションを売りに出す際に、リフォームをするべきなのかどうかで悩んでいる方は少なくないと思います。
「古くなって見た目が良くないので、リフォームしないと買い手がつかないのではないか」と不安に思うのは当然のことです。
また仲介業者から売却前にリフォームすることを奨められるケースもあるでしょう。
もちろん室内が綺麗な状態であれば買主に好印象を与えることができるので、早く売却できる可能性が高くなるのは間違いありません。
仲介業者がリフォームを奨めるのもある面では当然といえます。
しかし、「リフォームを行って少しでも高く売却したい」と思うのはどうでしょうか。
費用対効果を考えると、リフォームに投じたコストが回収できる可能性は必ずしも高くはないので、「本当にリフォームして高く売れるのかどうか」を慎重に検討する必要があります。
この記事では、中古マンション売却時にリフォームを行うメリットとデメリット、中古マンション売却前リフォームの注意点、中古マンションリフォームの費用相場などを詳しく解説すると共に、売却前リフォームを行うことの損得について考えてみたいと思います。
タクトホームコンサルティングサービス代表。東証一部企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門を立ち上げ責任者になる。部分リフォームから大規模リノベーションまで約20年間に2,000件以上のリフォームに関わる。現在は住宅診断を通じて住宅購入で失敗しないための支援活動を行っています。
会社HP:http://tactcs.jp/
もくじ
中古マンション売却前にリフォームするメリットとデメリット
中古マンションを売却する際にリフォームを行うメリットとデメリットにはどの様な点があるのでしょうか。
売却前にリフォームを行うメリット
まずは、売却前にリフォームを行うメリットについて紹介します。
・競合物件との差別化がはかれる
物件を見学した際の購入希望者の印象が良く、競合物件との差別化になるので、販売価格次第では早く売却できる可能性が高くなります。
・売り主や物件の信頼度が高くなる
室内全体が綺麗だと、「古くてもメンテナンスをしっかりと行い、大切に使われてきた」という印象を購入希望者に与えることができるので、売り主や物件への信頼度が高くなります。
売却前にリフォームを行うデメリット
続いては、リフォームを行うデメリットを紹介していきます。
・リフォーム費用が回収できない
リフォームにはそれなりのまとまった費用がかかります。
しかし、リフォーム費用を物件価格に上乗せした価格で売却するのは非常に難しく、持ち出し金額以上に高く売れるのはとても稀なケースです。
同じマンション内や近隣の類似物件よりも価格が高くなってしまうと、中古マンションの最大のメリットである割安感が失われてしまうので、非常に売りにくくなってしまいます。
・買主のニーズに合わないリフォームはマイナスポイントにしかならない
近年では中古マンションを安く購入後に、自分の好きな様にリフォーム・リノベーションして住むのが人気です。
リフォームすることを前提に物件を探している人にとっては、自分の嗜好に合わないリフォームがされている物件には何の魅力も感じられません。
中途半端なリフォームを行うことで、売却期間がかえって長期化してしまうリスクがあることは否定できません。
中古マンション売却前リフォームの2つのポイント
インターネットの不動産サイトなどを見ると、マンション売却前のリフォームは基本的には不要だとする意見が大半を占めています。
しかし、2018年3月に国土交通省が発表した「住宅市場動向調査報告書」によると、売主によるリフォームが実施された中古マンションは48.4%に上り、リフォーム資金の平均金額は231万円となっていて、思いの外高額な費用をリフォームにかけていることがわかります。
この中には再販業者などが含まれていると思われますが、売主によるリフォームの実施率は実に半数近くになっています。
一方、買主が購入後にリフォームを実施(実施予定を含む)する割合は37.3%にとどまっていて、売主によるリフォームの実施率を10%ほど下回っています。
したがって、売主が売却前にわざわざお金をかけてリフォームを行うのには、リフォームを行わずにはいられない何らかの理由があったものと推測されます。
中古マンションを売りに出す際に基本的にリフォームは不要だとしても、買主も決して汚くて経年劣化が著しいマンションを購入したいわけではありません。
極端に劣化が著しい箇所は、簡易的なリフォームを行って修繕しておいた方が良いでしょう。
築年数の経過によって古さを感じたとしても、綺麗に掃除されてメンテナンスが行き届いたマンションは、それまでのオーナーによって丁寧に使われてきたという印象を購入希望者に与えることができます。
中古マンションを売却前にリフォームする場合には、この点が重要なポイントになります。
この章では高額な費用をかけずに、購入希望者に好印象を与えるリフォームのポイントについてご紹介します。
ハウスクリーニング
購入希望者が嫌悪感を持つ様な状態であれば、どんなに価格が安くてもなかなか買い手がつきません。
「古い」と「汚い」とでは内覧の際に与える印象が全く異なるので、プロによるハウスクリーニング程度は、売りに出す前に行っておいた方が良いでしょう。
特に水回りは、カビや細菌のため臭いや汚れが付きやすい場所です。
念入りにハウスクリーニングを行って、臭いや汚れを取り除く必要があります。
マンションのハウスクリーニングは、5~10万円程度が費用相場です。
簡易的な内装リフォームなど
壁紙にカビや染みが発生していたり、部分的に剥がれていたりすると、非常に印象が悪くなります。
壁紙の貼り換え程度であれば、わずか4~5万円(6帖の場合)でリフォームが可能です。
また、畳や襖紙、スイッチ・コンセントプレート、ドアノブ、タオル掛け、紙巻き器、カーテンレール、浴室の鏡などの小物類を新しいものに交換しておくだけでも部屋全体の印象が大きく変わるものです。
どれも数千円~数万円程度で交換可能なので、交換しておいて損はないでしょう。
尚、小物類であれば、DIYでも交換できます。
更に網戸の破れやガラスのひび割れなどは、買主が物件購入後に必ず修繕すると思われるものなので、この様な不具合は売却前に直しておいた方が良いでしょう。
他には、古いチャイムやインターフォンを最新式のテレビドアフォンに交換する、洗面台の水栓金具をシャワー水栓に交換するなどの方法があります。
買主が物件購入後にリフォームする場合にも、再利用ができるので無駄にはなりません。
古くて使い勝手の悪い設備や、調子の悪い水栓金具などを交換しておくと、費用の割に好印象を与えることができます。
この様にコストを抑えたリフォームであれば、費用対効果の面でも有効です。
また少額の費用で済むのであれば、マンションの価格に上乗せせずに、販促費用として割り切ってしまうことも必要です。
ただし売却時のリフォームは、費用をかけすぎないことが大切です。
最大でも50万円以内に抑える様にするのが原則です。
中古マンション売却前リフォームは損か得?そもそも必要?
中古マンションを売却する前にリフォームを行った方が良いかどうかは、売主がひとりで判断するのが難しいこともあります。
そんな時には不動産仲介業者に相談してみると良いでしょう。
ただし中にはリフォーム会社と繋がっていて、高額なリフォームを提案し、リフォーム会社からキックバック(紹介料)を受け取る仲介業者もいるので、信頼できる業者を探すことが大切です。
一般的には、高額なリフォームを行ってもかかった費用を回収できる可能性は極めて低いので、安易にリフォームにお金をかけても損してしまうことが多いでしょう。
プロの再販業者でも500万円以上かけてリフォームしたからと言って、決して簡単に売れるわけではないのを見れば明らかです。
しかし必要な修繕を行わずに売却期間が長期化してしまっては元も子もありません。
購入希望者が内覧の際に目につきやすい不具合や傷、汚れなどは修繕しておいた方が短期間での売却が可能になって結果的に得することになります。
少額でできるリフォームであれば積極的に行うことが必要な場面もあるでしょう。
では、どれくらいの費用までならリフォームに費やしても良いのでしょうか。
リフォームにいくら迄ならかけられるのかは、周辺の類似物件の販売価格を調べて検討する必要があります。
まず同じマンション内や、エリア、築年数、間取り、面積、利便性などが似たようなマンションを不動産ポータルサイトなどでピックアップします。
その上で販売価格を調べ、ライバル物件よりも割安であればその差額まではリフォームしても販売価格に上乗せすることができるでしょう。
いずれにしても、客観的な顧客目線で物件を冷静に見て判断することが大切です。
マンション売却時のリフォーム費用の相場・目安
中古物件の価格を決めるのは、リフォームの有無よりも利便性や築年数です。
リフォームでいくら見た目を綺麗にしても、かかった費用を販売価格に上乗せできないのはこれまでご説明した通りです。
しかし、物件の内装やデザインなどに特にこだわりがなく、購入後にリフォームするのが面倒だと思っている買主にとっては、物件引き渡し後すぐに入居できるリフォーム済物件は非常に魅力的です。
そして国土交通省の「住宅市場動向調査報告書」によると、およそ6割以上の人が購入後にリフォームを実施していないという結果になっています。
したがってこれらの人をターゲットにすれば、ある程度のリフォームを行っておくことで販売価格にそのまま費用の上乗せはできないまでも、売却期間を大幅に短縮することができる可能性があります。
少しでも早く売却することを優先する場合には、リフォームが有効な手段になるでしょう。
そこでこの章では、中古マンション売却時に行うリフォームの最低料金の目安をご紹介します。
水回り設備交換費用の目安
水回り設備が老朽化して汚れていると嫌悪感を抱く人が多いので、売却時にリフォームを検討する際には水回りのリフォームを優先して考えたいものです。
ただし予算が限られているので、各住宅設備機器メーカーのスタンダードタイプの商品の中から選ぶ必要があります。
低価格でシンプル、清潔感があって掃除がしやすい商品を選ぶことが重要です。
- ・キッチン交換 70万円~
- ・ユニットバス交換 60万円~
- ・温水洗浄便座付き便器交換 20万円~
- ・洗面化粧台交換 10万円~
- ・追い炊き付きガス給湯器交換 20万円~
- ・水回り設備全交換 180万円~
内装リフォーム費用の目安
畳や襖は生活感を感じる部分なので、交換しておくと好印象を与えることができます。
またビニールクロスは、メーカーの量産品を使用すれば比較的安価で貼り換えることができます。
個性が強い柄物ではなく、誰からも好まれるシンプルで明るめの色調を選ぶ様にしましょう。
- ・全室天井、壁ビニールクロス貼り換え(延べ床面積70㎡の場合) 30万円~
- ・畳表替え(6帖) 3万円~
- ・襖紙張り替え 3千円/面~
- ・フローリング貼り換え(6帖) 10万円~
- ・室内ドア交換 3~5万円/箇所
主な工事の最低料金の目安は上記の様になります。
したがって床面積70㎡前後のマンションをフルリフォームするには、およそ300万円がひとつの目安になります。
まとめ
中古マンションの売却を考えている場合、少しでも高く売りたいと誰もが思うことでしょう。
しかし高く売るために、高額な費用を投じてリフォームするという考えは正しくありません。
中古マンションの価格はほとんど利便性と築年数で決まるので、「リフォーム済の家=高額な家」にはならないためです。
一方では、「購入後に自分でリフォームするのは面倒なので、リフォーム済の中古マンションを購入してすぐに入居したい」と思っている人がいるのも事実です。
この様な人達に対しては、リフォーム済の物件は非常に魅力的です。
また購入希望者の内覧時の印象を少しでも良くするためにリフォームが効果的になる場面も少なくありません。
売却時のリフォームを行うかどうかを判断する上では、その目的を明確にして、目的に合ったリフォームを行うことが重要です。