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売りたい人
夫と共有名義で購入したマンションを売却しようとしているけど、通常の売却とは何が違うんだろう?
共有名義特有の違いがあれば知りたい。
普段はあまり気にしていなくても、不動産が共有名義になっていることは決して珍しいことではありません。
「夫婦共有名義でマンションを購入した」「兄弟で不動産を相続した」など様々なケースがあります。
夫だけでは住宅ローンの審査に通らないので、夫婦の共有名義にしたというケースも少なくないでしょう。
でもいざ共有名義の不動産を売却するとなると、予想以上に大変になることがあります。
不動産が共有名義になっていると、通常の単独名義の場合と異なり、各名義人の意思に従わないと自由に売却することができません。
とくにマンションの場合は、土地の様に持ち分に応じて分筆することもできないので、自分の持ち分だけ売りに出すこともできません。
それでは共有名義のマンションを売却するにはどんな手続きが必要で、注意すべき点にはどんなことがあるのでしょうか。
今回は共有名義マンションの売却方法について詳しく説明します。

株式会社ウィンドゲート代表取締役、不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士。ZUU・幻冬舎・不動産投資の教科書などでコラムを多数執筆、セミナーも数多く開催している。国内だけでなく、海外不動産にも造詣が深く、ドイツ不動産などの著作もあり。目指すは、資産形成をお手伝いする不動産の町医者型コンサルタント。会社HP:https://windgate.co.jp/
もくじ
共有名義のマンションを売却する3つの方法

マンションなど不動産の「共有」とは、所有権を単独ではなく複数人で持っている状態のことをいいます。
「共有」ではそれぞれに持ち分があり、その持ち分を各人で登記することができます。
共有名義で不動産を所有するケースで最も多いのが、夫婦共有名義で不動産を購入したり、相続で他の相続人と不動産を共有することになったりするケースだと思います。
共有名義の不動産を売却することはもちろん可能ですが、単独名義の時と同じように自分だけの意思で勝手に売却することはできません。
土地の場合は自分の持ち分だけ売却することが可能ですが、一般的にマンションの場合はそういうわけにはいかないのです。
では共有名義のマンションを売却するにはどんな方法があるのでしょうか。
共有名義のマンションを売却する方法は大きく次の3つに分けることができます。
- ➀共有名義人全員の承諾を得て第三者に売却する
- ➁自分の持ち分のみを売却する
- ③共有名義人に売却する
ではひとつずつ見ていきましょう。
1.共有名義人全員の承諾を得て第三者に売却する
共有名義のマンションを第三者に売却する際には、共有名義人全員の承諾が必要です。
名義人全員が売却に同意することができれば、最もスムーズに売却することが可能になります。
この場合の売却の手順は、基本的に単独名義の場合と同じです。
ただし誰が売却活動を行うのかでトラブルになることがあるので要注意です。
2.自分の持ち分のみを売却する
共有名義人全員の承諾をとろうと思っても、離婚問題や他の相続人と絶縁状態にあるため、承諾がとれないケースもあります。
自分の持ち分の範囲であれば売買が可能ですが、前述の様にマンションの場合には非常に困難です。
しかし、CENTURY21(センチュリー21)の様に不動産の共有持ち分の売却や買取を専門に扱っている不動産会社もあるので、この様な会社に相談してみるのもひとつの方法でしょう。
3.共有名義人に売却して共有名義を解消する
自分の持ち分のみを第三者に売却するのは困難でも、共有名義人に売却できる可能性は比較的高いと思います。
自分の持ち分を他の名義人に売却し、共有名義を解消する方法です。
持ち分を現金で買い取ってもらい、所有権を譲渡することで成立します。
ただしこの方法も名義人全員の承諾が必要になるため、共有名義人が3人以上いる場合には、売却相手以外の名義人の承諾も必要になります。
共有名義のマンションを売却する際の手続き

共有名義のマンションを売却する手順は、次のようになります。
- ➀共有名義人全員の承諾
- ↓
- ➁不動産会社との媒介契約
- 名義人全員の署名と実印による押印が必要です。
- ただし、実印の押印がある委任状と印鑑証明がある場合には、代理人による媒介契約の締結が可能になります。
- ↓
- ➂マンションの売却活動
- ↓
- ➃買主との売買契約
- 売買契約の際にも名義人全員の署名と実印による押印が必要です。
- ↓
- ➄物件の引き渡し
- 持ち分の割合に応じて売却代金を分配します。
- また仲介手数料や登記費用などの売却の為の諸費用も、持ち分割合に応じて支払います。
共有名義のマンション売却時に必要な書類
共有名義のマンション売却時に必要な書類は基本的には単独名義の場合と同じですが、常に名義人全員分の書類が必要になるので注意が必要です。
売却時に必要な書類は以下の様になります。
- ・権利証(登記識別情報)
- ・土地測量図及び境界確認書
- ・身分証明書(運転免許証・健康保険証)・印鑑証明書・住民票・印鑑(実印)
- ※名義人全員分
共有名義のマンション売却時の注意点
また共有名義のマンション売却時には、すべての手順で名義人全員が同席しなければならない点にも注意が必要です。
売却することに対して全員の承諾が得られていたとしても、不動産会社との媒介契約や買主との売買契約、引き渡し時など、ほかの誰かが代行することは基本的に認められていません。
共有名義の人が遠方に住んでいる場合は委任状を活用しましょう

遠方に住んでいたり、海外出張中だったり、病気療養中だったりというやむを得ない事情がある場合には、「委任状」によってほかの誰かが代行することができます。
委任状には決まった書式や様式はありませんが、本人が不動産売却の手続きを第三者に任せる意思を示す重要な書類なので、最低限記載すべき情報を漏れなく正確に記載する必要があります。
- ・委任者の氏名
- ・委任者の自筆による署名、押印
- ・受任者の住所
- ・受任者の氏名
- ・該当する不動産(土地・建物)に関する情報(所在地・面積・建物構造等)
- ※登記簿通りに正確に記入することが必要です。
- ・委任内容(どの権限を委任するかと委任する行為の詳細)
特に委任する行為については、不動産売買契約締結に関する権限、価格の変更、売買代金の受領行為、引き渡しに関する権限など、あらかじめ詳細にわたって確認しておく必要があります。
また、委任状には印鑑証明書や本人確認書類などの添付書類も必要になります。
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共有名義のマンションを単独名義で売却する方法

相続や離婚などが原因で、共有名義人全員が協力して売却活動ができない場合には、一度単独名義にしてから売却活動を始めた方がスムーズにことが進みます。
一方では、共有名義から単独名義に変更する場合には、贈与と見なされ贈与税がかかってしまうのが一般的です。
しかし、離婚時や相続時には非課税で単独名義にする方法があるので紹介します。
離婚してマンションを売却する場合
離婚が原因で夫婦共有名義となっているマンションを売却する場合には、離婚協議で財産分与として単独名義とすることができます。
しかし住宅ローンの残債がある場合には、金融機関への相談が必要なので注意してください。
複数人で相続したマンションを売却する場合
相続した不動産を売却し、売却代金を相続人全員で分け合うことを前提とした換価分割を行う事で、非課税のまま代表者一人の名義にすることができます。
代表者がマンションの売却活動を行い、売却で得た代金は相続人全員に分配します。
共有の名義人が納得してマンションを売却するための2つのコツ

共有名義のマンションを売却したくても、他の名義人との意思統一がなかなか図れないというケースも多いのではないでしょうか。
ここでは共有の名義人が納得してマンションを売却するためのコツを紹介します。
共有名義のマンションを査定して結果を知らせる
共有名義人全員の承諾がなければマンションを売却することはできませんが、査定するだけなら一人の意思で不動産会社に依頼することができます。
インターネットの不動産一括査定サイトを利用すれば、手軽に複数の不動産会社に査定依頼ができます。
具体的な売却価格や現在の相場などがわかるので、売却することに消極的な相手にもより前向きに売却を検討してもらうことができるでしょう。
不動産会社に相談する
査定結果を見せても効果がないようであれば、不動産会社に間に入ってもらうという方法もあります。
マンションを活用せずに放置しておくだけでは、固定資産税や管理費・修繕積立金などの支出があるばかりでなく、資産価値もだんだん目減りしてしまいます。
そのまま放置し続けることによる弊害や、査定価格の裏付けなど、専門家による説得力のある意見によって、気持ちが売却に傾く可能性は十分にあります。
共有名義のマンションを高く売るための2つのポイント

共有名義のマンションを売却する際には、できるだけ高額で売却しないと後からトラブルの原因になる可能性があります。
ここでは、高額売却のためのポイントを2つ紹介します。
複数の不動産会社から査定してもらう
不動産の査定額は、不動産会社によって数百万円も違ってしまうことが珍しくありません。
1社だけの査定額を鵜呑みにして売却を進めてしまうと、相場価格よりも安いor高い金額で売りに出し、結果として損を高値での売却ができなくなる可能性もあります。

大切なことは、必ず複数の不動産会社か査定結果をもらうようにすること。
複数の不動産会社からの査定額を比較することで、より適正価格での売却をすることができます。
最近では、不動産一括査定サイトと呼ばれるサービスもあるので、一度にまとめて複数社に査定を依頼することも可能です。

不動産一括査定サイトは数多く種類がありますが、特に評判が良いのが、NTTデータグループが運営するHOME4Uです。
運営歴18年を誇り、事前の審査を通過した1300社と提携をしています。
個人情報の管理も徹底されているので、共有名義のマンション売却を検討している人はぜひ活用してみてください。
もし、他の不動産一括査定サイトも知りたいという人は、下記の記事で詳しく解説をしていますよ。
関連記事→不動産一括査定サイトのおすすめ5選+評判の30サイトを比較!【総まとめ】
物件の印象を良くする
室内に残置物や不用品が残っている場合には、できるだけ処分しておくようにしましょう。
また、壁紙の剥がれやフローリングの傷など簡単な修繕や補修を行っておくと、見た目の印象が大きく変わります。
なるべく値引き交渉の元になる要因をなくしておくことが大切です。
共有名義のマンション売却時にかかる税金と確定申告

マンション売却時には、印紙税や譲渡所得税がかかります。
印紙税は売買契約書に印紙を貼って納める国税で、共有名義のマンションを売却する場合には、各名義人の持ち分割合に応じて負担します。
また、マンション売却後には共有者はそれぞれ持ち分に応じた代金を手にすることになりますが、利益が出た場合には確定申告を行い、譲渡所得税の課税対象となります。
ただし、売却(譲渡)価格から取得費と譲渡費用を差し引いた売却益がゼロまたはマイナスになる場合には、譲渡所得税は発生しません。(この場合には確定申告も不要になります)
尚、自分で居住していたマンションについては最大3,000万円の特別控除の特例があるので、これを利用すれば税金はほとんどかかりません。
ただしこの特例は、共有名義人一人ずつに適用されますが、売却したマンションに住んでいなかった場合には適用されません。
関連記事→中古マンションを売る時の費用・税金まとめ|戻ってくるお金や手数料の抑え方、お得な控除方法も解説!
共有名義マンション売却時の所得に要注意!配偶者控除と社会保険への影響

共有名義マンションなどの不動産を売却して収入を得ると扶養から外れてしまう恐れがあるので、専業主婦の場合には注意が必要です。
扶養に入っている事で保険料を支払わずに社会保険に加入できるので、譲渡所得が38万円(年収103万円)をこえるかどうかが重要なポイントになります。
また社会保険の中でも国民健康保険の場合は、保険料が副収入を含めた所得をもとに計算されるので、マンションを売却して高額の収入を得た場合には翌年の保険料に影響することがあります。
しかし、不動産価格は築年数の経過により値下がりする傾向が強いので、譲渡所得が発生する可能性は低いのですが、念のため譲渡所得の計算をしておくと安心です。
共有名義のマンション売却で困ったときは弁護士に相談

共有名義のマンションを売却したいと思っても、実際には名義人全員の承諾を得るのは簡単ではないことの方が多いと思います。
- ・親のマンションを共有名義で相続したが、以前から身内が使っている
- ・共有名義のマンションを他人に賃貸しているが、賃料が公平に分配されない
- ・マンションの共有名義人が行方不明で連絡がつかない
- ・現在別居中で離婚する予定だが、離婚後にどちらか一方が夫婦共有名義のマンションに住みたいと思っている
- ・他の相続人と絶縁状態になっているため、話し合いの場を持つことができない
など、当事者同士の話し合いによる解決が困難な場合には、弁護士に相談するのがベストです。
特に相続が絡む場合には、時間が経つほど権利関係が複雑化するリスクが高いので、早めに弁護士に相談して次の世代に移行する前に解決することが重要になります。
まとめ
今回は共有名義のマンションの売却について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
共有名義といっても、共有名義人全員の承諾が得られれば、売却するのはそれほど難しいことではありません。
しかし実際には様々な理由で、共有名義人同士が協力して売却活動を行える状況でないことが多い様です。
どうしても他の共有名義人を説得できない場合には、自分の持ち分のみの処分も検討しなければいけませんが、全体を売却して代金を分ける方法が最も良い方法なのは言うまでもありません。
共有不動産の売却では時間が経つほど共有名義人が亡くなり、その配偶者や子、孫となるにしたがって法律関係が複雑になってしまいます。
共有関係は、問題を先送りにしないでできるだけ早く解消することをおすすめします。
