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使う予定のない空き家は早めに売却するのが一番です。
空き家は所有するだけで税金や維持費がかかり、費用は数年間で数百万円にもなります。
また近い将来空き家の数が激増するので、売却するのも難しくなります。
そのため、早めに空き家を売るのが一番ですが、どうやって売ればいいのか分からない方も多いでしょう。
そこで本記事では、空き家を売る3つの方法やかかる税金、不動産会社の選び方などを解説します。
記事を読むことで、各方法のメリット・デメリットから売却手順まで分かるはずです。
それではさっそく見ていきましょう!
もくじ
空き家を売りたい!どうやって売ればいい?
空き家の売却を決意したとしても、物件状態によって売り方は異なります。
理想は空き家を中古物件として売却することですが、場合によっては更地にしたり賃貸にしたりする必要があるのです。
また、これから空き家は大きな負債となるので、早めの処分が大切。
ここからは空き家を売る方法と売却タイミング、空き家を放置するリスクを解説します。
空き家を売る方法
空き家の問題は需要が非常に少ないことであり、買い手を見つけるのが難しい状況にあることです。
理想は中古物件として売却することですが、場合によっては次の2つのケースでの売りも考えられます。
- ・古家付き土地
- ・解体して更地にしてから売却
中古物件として売却できるのは、築年数が浅い、もしくは立地や広さなどに魅力がある物件です。
マンションなら築20年以内、一戸建てなら築25年以内が1つの目安となるでしょう。
まずは大手不動産ポータルサイトなどで、所有する空き家と似たような条件の物件があるか確認してください。
中古物件として売れるのかどうかや、価格の相場も判明します。
古家とは、建物として価値がない家のことです。
物件の資産価値は年々減少していき、一戸建てだと築22年で約9割も資産価値を落とします。
ただ、築20~30年なら、資産価値は9割以上減っても十分住むことは可能です。
そのため築25~30年が古家と空き家の境界線となるでしょう。
築20~30年の一戸建てにお住いの方は、不動産に中古物件として売却できるのか相談するのが賢明です。
古家付き土地の売却だと、古家の資産価値はゼロなので土地の売買となります。
しかし、多くの方は土地だけを求めます。
そのため、古びた古屋なら事前に解体して更地だけを売るといいでしょう。
古屋付きよりも更地にした方が需要は高まります。
それぞれの売り方のメリット・デメリットなどは、後ほど詳しく解説します。
増加する「空き家問題」
メディアでも取り上げられる機会が多くなった空き家問題。
空き家問題とは、人口減少と少子高齢化により、全国の空き家数が増加する問題のことです。
全国には1,000万戸近くの空き家があり、これからも増加し続けるでしょう。
特に問題となっていて多くの人が直面するのが、親の住宅の相続です。
一昔前、日本ではマイホーム購入が人生の1つの目標とされており、現在の中高齢者の多くが一戸建てを所有しています。
中高齢者が亡くなると、その家は子供に相続されるのです。
しかし人口減少が進んだ日本では、すでに空き家の買主を見つけるのが難しくなっています。
買い手も受取先も見つからない空き家を、若い世代が抱えることは大きな問題となるでしょう。
次の項で、空き家を所有し続けるリスクを解説します。
空き家は早めに処分した方がいい?空き家を放置しておくリスク
空き家を放置しておくと、所有者と周辺環境にリスクを及ぼします。
まずは所有者にかかるリスクを見ていきましょう。
土地や建物を所有するだけで、多くの費用がかかります。
代表的なものが、固定資産税と管理維持費。
ただ空き家を数年間所有するだけで、100万円以上出ていく可能性は高いです。
もし適切な管理をせずに放置したままにすると、「特定空き家」と認定されてしまいます。
認定された場合、固定資産税は最大6倍まで上がり、命令に反すれば最大50万円の罰金が課されるのです。
改善が一向に見られないようなら、所有者の費用負担で強制解体が行われます。
次は周辺環境に与える悪影響を見ていきましょう。
両隣が空き家のまま放置されると、生活するには少し怖いですよね。
しかし、2033年には3戸に1戸が空き家になると予想されており、近い将来それが現実となる可能性は高いのです。
空き家として放置されたままだと様々なリスクが生まれます。
例えば、老朽化による災害での建物倒壊、不審者の住みかとなる、街の景観が損なわれるなど。
このように空き家は大きな負債物件となり、適切な管理をしなければ周辺にも悪影響を与えるのです。
使う予定のない空き家は、すぐに処分するようにしましょう。
空き家を売却するメリット
空き家を売却することで、様々な義務から解放されます。
まず大きな額となる固定資産税と修繕費からの解放、そして管理義務から自由となれるのです。
空き家を所有していなければ実感が難しいでしょうが、空き家から解放されるだけで肩の荷が大きく降りるでしょう。
すでに空き家処分は難しい時代となっています。
実質タダでも引き取ってもらえない空き家が多いことを考えれば、売却できるだけでも最高の結果といえます。
不動産を売却して、「売却益>取得費+売却にかかった費用」となると、譲渡所得税の課税対象となります。
大きな税負担となりますが、空き家問題を深刻にとらえた政府は「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」という制度を用意しています。
内容は従来の3,000万円の特別控除と同様、「売却益-(取得費+売却にかかった費用)」の合計が3,000万円以下なら、譲渡所得税は課税されないのです。
元々は相続した空き家は対象外でしたが、2016年から相続した住居にも適用されることになりました。
これによって空き家の売却がしやすくなったのです。
ただし、特別控除の使用要件は少しばかり厳しめで、場合によってはリフォーム工事が必要となります。
まずは国土交通省のホームページを確認して利用可能かどうか確認してください。
空き家はいつ売るのがべスト?
2つの理由から、空き家は早めに売却するのがおすすめです。
1つ目の理由は、まだ空き家を売却できる確率が高いから。
すでに1,000万戸近くの空き家がありますが、これからは爆発的に増加すると言われています。
人口減少の一方で空き家数が増加すると、需要と供給のバランスが崩れ、買い手が見つからなくなるでしょう。
今のところはまだ空き家売却の可能性は比較的高いので、早めに動くのが大事です。
後回しにしては、売れる空き家も売れなくなります。
2つ目の理由は築年数が関係します。
マンションや戸建ての資産価値は、築年数がたつほど大きく下がります。
築20年を超えたら売却は難しくなると考えておくべきでしょう。
例えば、今築15年の物件だと十分に売却できる可能性がありますが、たったの5年経つだけで価値はほぼなくなってしまうのです。
将来的に住み替えや相続対策などでマイホームの売却を考えている方は、早めに動きだすのをおすすめします。
ここまでをまとめると、空き家売却のベストタイミングは今です。
将来的には売却どころか寄付さえも難しくなることを考えると、今のうちに対処しておくのがいいでしょう。
空き家を中古物件として売る
築年数が20年未満だったり立地が魅力的であったりする物件の場合は、中古物件としての売却を考えましょう。
空き家処分の中では一番理想的な方法ですが、知っておくべきデメリットもあります。
ここからは、中古物件として売却するメリット・デメリットや流れ、高く売るコツなどを見ていきます。
空き家を中古物件として売るメリット・デメリット
メリット
空き家を中古物件として売ることで、まとまった資金を得られます。
無料でも引き取り先が見つからず、100万円以上かけて空き家を解体する人がいることを考えれば、数百万円から1千万円以上の資金を手にできるのは大きな魅力です。
なかでも、親の住居を相続した人は他にもメリットを受けられます。
不動産は分割するのが難しいため、相続人が複数人いると遺産協議がまとまらない傾向にあります。
しかし住居を現金化することで、円滑に遺産分割が行えるようになるのです。
また、子供の独立をきっかけに住み替えを検討している方にも、売却はおすすめ。
売却資金で残りわずかのローンを完済し、賃貸マンションなどに住み替えるのです。
こうすることで、売却資金で毎月の賃貸を支払えれば、子供に空き家となる物件を残す心配もなくなります。
税金や管理義務から解放されつつ、まとまった現金を得られるのは売却ならではです。
デメリット
空き家売却にはまとまった諸費用がかかり、その合計は売買価格の約1割とも言われます。
例えば、1,500万円で売却したのなら約150万円かかるので、事前に現金を用意しておく必要があるのです。
また、空き家に住宅ローンが残っている場合は、売却に出せません。
住宅ローンが残っている際の売却条件としては、預貯金などで先に完済する、もしくは売却資金で完済するかのいずれかです。
もう1つ見落としがちなデメリットが、必ずしも売れるとは限らないということ。
売れると思い込んで1年以上も売却に出す人はいますが、3~6ヵ月以内に買い手が見つからなければ売れる確率は低いです。
売却期間中にも維持費などがかかるので、思い切りよく撤退することも大事です。
空き家を中古物件として売る手順
空き家売却の流れを簡単に示しました。
【空き家売却のステップ】
複数不動産会社の査定比較
▼
不動産会社との契約締結
▼
売却活動開始
▼
買主との交渉・売買契約成立
▼
引き渡し
▼
確定申告(利益が発生した場合)
これが簡単な流れとなります。
なかでも重要なのが、不動産会社選びと売却活動中の内見です。
特に不動産会社選びは、売却価格と期間に大きな影響を与えます。
不動産会社選びのポイントは記事の最後の項で解説するので、そちらを参考にしてください。
空き家を中古物件として売却する際にかかる費用
中古物件として売る場合、様々な費用がかかります。
用意していなければ、買主側にも迷惑をかけるので、事前に必要費用の確認と準備をしておきましょう。
【印紙税】
不動産の売買契約書に貼る印紙にかかる税金です。
契約書記載の売買価格により印紙税は異なり、1千万円越え5千万円以下で1万円となります。
【抵当権抹消の登記費用】
抵当権抹消の際には、登録免許税や司法書士への報酬が発生します。
金額はケースバイケースですが、2~4万円が相場でしょう。
【不動産会社への仲介手数料】
一番大きな負担となるのが、仲介手数料です。
不動産会社によって額は異なりますが、基本的には法律で定められた上限額を請求されるでしょう。
上限額は売買金額によって変わり、400万円越えだと以下の計算式で求められます。
- ・売買価格×3.24%+64,800円
※消費税8%の場合
【譲渡所得税】
売却で利益が出たら、譲渡所得税が課税されます。
対策としては、取得費と売却にかかった費用を増やして税額を抑えること。
しかし、相続した空き家などは取得費が分からないケースもあるでしょう。
その時は、売買価格の5%が取得費になると決められています。
ただ、空き家なら3,000万円の特別控除を活用すれば、課税されることはないでしょう。
空き家物件の売却相場を知る
空き家の売却前には、相場を知って売却価格の目安をつけることが重要です。
売却相場を知る主な方法は、大手不動産ポータルサイトで検索、無料一括見積比較の2つがあります。
大手不動産ポータルサイトの優れているところは、細かな条件で検索指定できること。
空き家がある周辺エリアで、築年数や間取りが似たような物件を見てみましょう。
何件も見ていくうちに、その周辺エリアでの相場観が掴めてくるはずです。
そして、ネットでは無料で複数不動産会社の見積りを得られるサービスがあります。
賢く活用することで、不動産会社による簡単な査定比較ができ、大まかな相場も分かるでしょう。
適正価格で早く売却するには、相場を知ることは必須です。
売却活動のファーストステップとして、相場観を身に着けるよう心がけましょう。
空き家をより高く売るためのコツ
空き家を高く売りたいのなら、心がけることは2つです。
1つ目が、早めの売却を心がけること。
それは築年数が経つたびに、資産価値が大きく減るから。
東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通事情(2018年)」から、具体的な数字を紹介します。
【中古戸建て】
- ・築0~5年:4,149万円
- ・築6~10年:3,915万円
- ・築11~15年:3,689万円
- ・築16~20年:3,555万円
- ・築21~25年:2,963万円
- ・築26~30年:2,605万円
- ・築30年越え:2,177万円
【中古マンション】
- ・築0~5年:5,411万円
- ・築6~10年:4,602万円
- ・築11~15年:4,242万円
- ・築16~20年:3,716万円
- ・築21~25年:2,528万円
- ・築26~30年:1,697万円
- ・築30年越え:1,815万円
このように、築年数が経つことで資産価値は大きく下がります。
戸建て・マンションともに目安となるのは築20年です。
築20年を超えると、成約価格が大幅に下落してしまいます。
築20年以下の住宅を持っていて売却を考えている方は、早めに動くようにしましょう。
2つ目が、「清潔感を出す」こと。
中古物件でも古びた印象だと売れません。
まずは徹底的に整理整頓して、清潔感あふれる住宅を目指します。
おすすめはハウスクリーニングすることです。
やはりプロに掃除をしてもらうことで、部屋の印象が大きく変わります。
部屋の大きさや状態にもよりますが、費用は10万円を超えることもあります。
費用を抑えたい方でも、水周りだけはハウスクリーニングをすることをおすすめします。
中古物件購入者が重点的にチェックするのは水回りです。
水回りが綺麗で問題なく使えるのなら、成約率はぐっと高まるでしょう。
少しまとまった費用こそかかりますが、ハウスクリーニングは非常におすすめです。
その他のテクニックとしては、内見前に部屋のライトを新品に取り替えること。
明かりは部屋の印象に大きな影響を与え、新品に替えるだけで部屋がぐっと明るい印象になります。
そして多くの方が悩んでいるのは、リフォームをするべきかということだと思います。
基本的にリフォームは必要なく、するとしても小さな修繕にとどめておくのがいいでしょう。
なぜなら、リフォームをする前提で中古物件を購入する方は多いからです。
もしあなたが大規模なリフォームを行うと、購入希望者は自由にリフォームができなくなります。
リフォームはマイナスになる可能性もあるので、ドアノブの修繕や壁紙の張替えなど、小さな修繕だけにしておきましょう。
空き家をそのまま「古家付土地」として売りに出す
築年数が25~30年を超える古家は、古家を残すのか、解体するのかがポイントとなります。
まずは、古家を残したまま売却するメリット・デメリットや手順などを解説します。
空き家をそのままの状態で売るメリット・デメリット
メリット
空き家を残すことで、莫大な解体費用は発生しません。
解体費用は「空き家を解体して土地を売る」の項で紹介しますが、数百万円かかる場合もあるのです
まとまった解体費用をカットできるのは嬉しいですよね。
もう1つのメリットとしては、固定資産税が値上がりしないことが挙げられます。
土地に住居がある場合、「住宅用地特例」という減税制度が適用され、固定資産税にかかる税率が減税されるのです。
しかし空き家を解体して更地にすることで、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍まで上昇します。
税金の上昇を抑えられるので、買い手がしばらく見つからなくとも、安心して売却活動が可能です。
デメリット
一番大きなデメリットは、買い手を見つけるのが難しいということ。
古家付き土地を購入する人の目的は土地であり、古家は余計なおまけです。
住宅も求めるのなら土地付き中古物件を購入したほうがお得なので、古家付き土地は使い勝手の悪い商品と言えます。
売買交渉の段階で、解体費用分の値引きを求められる可能性もあるのです。
2つ目のデメリットは、住宅の維持管理費用がかかり続けること。
売却までの期間が長くなるほど、維持管理費用は多くなります。
また、万が一「特定空き家」と認定されてしまうと、住宅があっても固定資産税が値上がりするのです。
空き家をそのまま「古家付き土地」として売る手順
古家付き土地の売却手順は、中古物件売却手順とほぼ同じです。
大きく異なるのは、初めに物件価格ではなく、土地価格相場を知ること。
古家は資産価値がほぼゼロなので、売買のメインは土地となります。
土地相場を調べるおすすめの方法は、国土交通省運営のサイト「土地総合情報システム」を活用する方法です。
土地情報総合システムでは、実際の土地取引価格や選択地域の土地情報などを確認できます。
土地相場を知るには、最も信頼できるソースだと思います。
もちろん、不動産会社を選ぶ前には、複数会社による土地の価格査定と比較は必須です。
古家付き土地として売る時にかかる費用
古家だとしても住宅と土地の売買になるので、かかる費用は中古物件のケースと同じなので、前項を参考にしてください。
空き家を解体して土地を売る
空き家を残しても売れない場合は、建物を解体して売却することになります。
更地にすることで、買い手が見つかりやすくなるメリットを得られますが、いくつかのデメリットも知っておくべき。
ここからは、空き家を解体して更地を売ることについて解説します。
空き家を解体して土地を売るメリット・デメリット
メリット
空き家を解体するメリットは3つ。
1つ目は、買い手が見つかりやすくなることです。
買主には解体費用の負担が生じず、土地の大きさもイメージしやすくなります。
築年数が40年も50年も経過していてボロボロの古家状態ならば、買主への印象も悪いので、取り壊した方がいいかもしれません。
2つ目のメリットが、空き家管理から解放されること。
空き家自体がなくなるので、管理修繕費を支払う必要がありません。
3つ目が更地を様々な用途で活用できること。
例えば、買い手が見つかるまでの間、更地を駐車場として運営できるのです。
デメリット
空き家を解体するデメリットは、まず様々な費用が生じることです、
百万円以上かかる解体費用、解体の翌年から上がる固定資産税などなど。
これらの費用はローンで対応するのが難しいため、貯金からやりくりしなければいけません。
もう1つのデメリットが、買主が住宅ローンを利用できなくなることです。
住宅ではなく更地の購入となるため、基本的に住宅ローンの対象外となります。
ローン購入できないのは、買主にとって大きなデメリットです。
空き家の解体費用
空き家の解体費用が決まる要因は主に2つ。
1つ目は、住宅の大きさです。
住宅が広く大きいほど工事面積が増えるので、解体費用は高くなります。
2つ目の要因が、家の構造です。
家の構造が解体費用に与える影響は大きく、比較的費用が安くなるのは木造住宅で、坪単価3~4万円が相場となります。
対して、鉄骨住宅などの耐久性が高い構造だと、坪単価6~7万円にもなるのです。
例えば、30坪の住宅を解体した場合、相場は木造で90~120万円、鉄骨で180~210万円となります。
高額な費用となりますが、自治体の中には空き家解体費用の助成制度を用意しているところがあります。
例えば、東京都足立区は解体費用の半分(上限50万円)を支払う制度を用意していました。
どの助成制度も「特定空き家」に認定されるような、危険性のある空き家を対象としています。
助成金は大きなサポートになるため、まずは空き家がある自治体の制度を確認してみましょう。
公式サイトでも確認できますが、直接役所で尋ねるのが一番確実な方法です。
空き家を解体して土地を売る手順
まずは空き家解体業者を探しましょう。
ここでも重要なのが、複数業者による見積もり比較です。
2~3社に解体費用の見積りを出してもらい、相場から大きく外れていないところに依頼するといいでしょう。
解体業者を選んだら、話し合って決めた解体日に工事を実施します。
空き家を解体したらすぐに税金が上がると誤解されがちですが、税率が上がるのは解体の翌年からです。
ここでは解体前提で話を進めていますが、少しでも「建物付きで売れるかな」と思う場合は、初めに不動産業者に相談するのがいいでしょう。
また、不動産会社が解体業者を紹介してくれるケースもあります。
解体後の流れは、他の方法と同様で、不動産会社への依頼と売却活動です。
土地を売却する時にかかる費用
更地にしてからの売却の場合、仲介手数料や諸費用、税金などに加えて解体費用がかかります。
さらに、場合によっては土壌汚染調査費や土地の整備費用がかかるでしょう。
土壌汚染調査は義務ではありませんが、万が一売却後に不具合や土壌汚染が見つかるとトラブルになるため、調査を依頼する人もいます。
費用は20~30万円が一般的です。
また、更地にしても土地が整っていなければ、整備を行わなければいけません。
整備費用は10万円から100万円までと、工事内容によって大きく異なります。
どちらも高額費用なので、不動産会社と相談して決めるといいでしょう。
他にもある空き家の処分方法
空き家は売却するのが理想ですが、他にも処分方法はあります。
各選択肢の特徴を理解してから、あなたに合ったものを選ぶようにしましょう。
不動産会社で買い取りを行ってもらう
一刻も早く空き家を手放したい方におすすめなのが「買い取り」です。
買い取りとは、不動産会社に直接物件を購入してもらうことであり、売却活動を行うことなく空き家を手放せます。
すぐに物件を現金化できるだけではなく、売却活動がないため仲介手数料も発生しません。
ただ、不動産会社はリフォームをした後売却する予定で購入するため、買取価格は相場よりも安くなります。
一般的には相場の7~8割になるとでしょう。
また、必ずしも不動産会社に買い取ってもらえるとは限りません。
特に、築25年越えの一戸建ては利益にならないため、引き取ってもらえない可能性が高いです。
空き家を賃貸に出す
住宅を相続した方は、空き家を賃貸に出すことを考えているかもしれません。
賃貸にして入居者が入れば、毎月まとまった家賃収入を得られます。
非常に魅力的ですが、賃貸には大きなリスクもつきまといます。
まず、必ずしも入居者が入るとは限りません。
今でさえ入居率を高めるのは難しいうえに、これから人口問題が深刻化すれば需要は減少していくでしょう。
そのため、よほど大きな魅力がない限り賃貸に出すのはおすすめできません。
特に地方部は人口減少が進むので、安定した不動産経営は難しくなると思われます。
一方東京は地方からの人口流入のおかげで、人口減少スピードはかなり緩やかです。
空き家が都心部にあり、かつ間取りや立地などの魅力があるのなら、賃貸を考えてもいいかもしれません。
もう1つのリスクが、将来的に売れなくなる可能性が高くなること。
一度入居者が入ると、賃貸物件と見なされるため資産価値が下落します。
築10年の戸建てを、今から10年間賃貸にしたとしましょう。
10年後に売却しようとしても、築20年になっているので資産価値は9割以上下がっており、売却できない可能性が高いです。
その他にも、不動産経営には専門知識やまとまった初期費用、そして毎年の確定申告が必要となります。
将来売却できない可能性も考えると、賃貸ではなく売却の方がおすすめです。
空き家バンクを利用する
各自治体は空き家問題を解決するため、ある取り組みをしています。
それが「空き家バンク」です。
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の仲介サービスで、空き家所有者と空き家をつなぐサービス。
マッチングサービスみたいなもので、売り手と買い手が合えば、あとは個人間でのやり取りに移ります。
そのため、膨大な仲介手数料は発生しません。
この空き家バンクを有効活用しているのが、長野県売木村です。
人口の2~3割が移住者の売木村では、村の移住希望者に対して空き家の情報提供を行っています。
売買情報だけではなく、空き家賃貸のマッチングも行っているため、移住希望者は半年から1年間にかけての体験移住も可能となっているのです。
地方移住検討者が空き家を購入するケースは増えています。
相場よりも低い価格での売却になるでしょうが、空き家バンクに登録してみるのもおすすめです。
空き家の処分方法で迷った時の判断ポイント3つ
各処分方法を解説してきましたが、どの方法があなたに向いているのか悩むことでしょう。
そこでここからは、空き家の処分方法を決める3つのポイントを解説します。
1.築年数
資産価値に影響を与える築年数は大きな目安となります。
一戸建てで築25年以下、マンションで築30年以下なら中古物件としての売却を考えるといいでしょう。
ただ、一戸建てでも築30年以下なら中古物件として売却できる可能性はあるので、まずは不動産会社に相談すべきです。
築30年を超える物件は古家付き土地としての売却になるでしょう。
物件状態によっては、空き家解体の必要性が出てきます。
しかし、空き家解体は必ずしもマイナスなものではなく、解体することでより高く売却できる可能性もあるのです。
解体するかどうかもまた、不動産会社と相談するようにしてください。
2.立地
立地や周辺エリアが良ければ、中古物件としての売却だけではなく、賃貸に出すという選択肢も生まれます。
立地が良いとは、ここでは都心に位置して、駅近や周辺環境に恵まれた物件とします。
賃貸に出す期間にもよりますが、長期間安定した家賃収入を目指すのなら、都心にあることは最低条件でしょう。
対して、空き家が地方や郊外にあるのなら、早めに処分する方がおすすめです。
3.将来の予定
一番重要な判断材料が将来の予定です。
例えば、転勤で数年間はなれるものの、将来的には再び住む予定があるのなら、賃貸もしくは維持が選択肢となるでしょう。
一方、すでに住居を所有していて、空き家を使う予定がないのなら売却がおすすめです。
将来の予定を踏まえて決定するようにしましょう。
空き家を売却する時に発生する税金
すでに見てきましたが、空き家を売却した時にかかる税金は以下の通りです。
- ・譲渡所得税
- ・印紙税
- ・固定資産税(買主と日割り)
ここでは、もう少し詳しく譲渡所得税について解説していきます。
譲渡所得税の計算方法は次の2ステップで求められます。
- ・譲渡所得額=売却価格-(取得費+売却にかかった費用)
- ・譲渡所得税額=譲渡所得額×所定の税率
所定の税率は、物件の所有期間によって異なります。
- ・5年以下:39.63%
- ・5年越え10年以下:20.315%
- ・10年越え:6,000万円以下の部分14.21%、6,000万円越えの部分20.315%
相続した実家を売却する場合は、親が所有していた期間も含まれます。
例えば相続後すぐに売却したとしても、親の所有期間が5年越えならば軽減税率が適用されるのです。
空き家の荷物や家財を処分する方法
空き家を処分する際は、家の中を空っぽにしなければいけません。
荷物や家財の処分方法ですが、早めのうちからコツコツと開始するのが一番です。
自治体のゴミ捨てルールに従って、少しずつ処分するのが、一番効率的でコストがかからない方法でしょう。
自分で処分する気力や時間がないという方は業者に依頼するのが一番。
遺品整理業者なら、必要な物とそうでない物を分類しながら、家財処分をしてくれます。
業者に依頼した時の費用は、物の数や部屋の広さなどによって異なります。
相場は数万円から20万円ほど。
コストを抑えるには、業者比較はもちろんですが、自分でできることはしておくことが大切です。
また、価値がありそうな家財は、フリマアプリやオークションなどで販売するのもおすすめ。
売れなさそうな物でも、意外と売却できます。
処分できるうえに資金も手に入るので、積極的に活用するといいですね。
家が売れない時の対策
どうしても家が売れない時は、そのまま維持するしかありません。
ただ、管理の面倒さや、遠方の方にとっては毎月行うのが難しいという問題があるでしょう。
そんな方におすすめのサービスを紹介します。
管理代行を活用
最近増加しているのが空き家管理サービスです。
所有者の代行をしてくれ、基本サービスは月に1回の巡回と換気、そして雨漏りや設備の確認となります。
毎月の費用相場は、月5千円から1万円です。
傾向的にマンションの方が管理費用は安く、一戸建ては月1万円を超えることもあります。
毎月の費用こそかかりますが、管理が面倒な方や遠方に住む方は使うと便利かもしれません。
繰り返しになりますが、空き家は周辺住民にも影響を与えるため、管理は所有者の義務です。
亡くなった親の家を相続したら
空き家を所有する多くのケースは、亡くなった親の家の相続でしょう。
家の相続は要注意しなければいけません。
ここからは、相続の手続きと注意ポイントを解説します。
相続の方法・手続き
親が亡くなったら、葬式や法事などでバタバタしますが、被相続人が亡くなってから7日以内に市役所に死亡届の提出が必要です。
そして、基本的には遺言書にしたがって相続を行います。
遺言書がない場合は、相続人同士で話し合いをして、遺産分割を行うのです。
あなたが住宅を相続することになったら、管轄の法務局で相続登記の手続きをします。
気になるのは相続税のはずです。
相続税は基礎控除額があり、それは3,000万円+600万円×法定相続人の数となります。
法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円までが基礎控除となるのです。
基礎控除額を超えた場合は、10か月以内に申告と納付を行わなければいけません。
相続人が複数の場合は、住宅は遺産分割協議がまとまらない可能性があります。
物件は分割できないため、売却して現金を分割すると円滑に遺産分割ができるでしょう。
家を相続するときの注意ポイント
家を相続する前には、2つのポイントを確認してください。
1つ目が、被相続人が団体信用生命保険に加入していたかどうかということ。
団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンが残っていても、相続人にローンは引き継がれません。
大切なのは2つ目で、本当に引き継ぐ価値があるのか考えること。
思い出の詰まった住宅は引き継ぎたいところですが、特に利用しないのなら引き継がない選択肢もあります。
引き継いだものの、処分できなくなると、毎年数十万円の費用がかかる負債物件となるのです。
住む、賃貸にするなどの目的がないのなら、相続放棄も考えましょう。
しかし、相続放棄をしたからと管理義務までは放棄できません。
法律で、次の所有者が見つかるまで管理義務は継続されると明記されているのです。
管理義務からも解放されたいのなら、家庭裁判所で相続財産管理人の選定をしなければいけません。
100万円近くの費用がかかりますが、空き家として所有し続けるとそれ以上の出費となること考えると、相続放棄は賢い選択肢です。
空き家の処分で困った時の不動産会社の賢い選び方
最後に、空き家の処分を依頼する不動産会社の選び方を紹介します。
普通の売却とは少し異なるので、ぜひ参考にしてください。
複数不動産会社の査定比較
まずは複数不動産会社の査定比較です。
すでに述べた通り、その査定額になった根拠を尋ねて、悪徳業者を見極めましょう。
具体的な手順を説明すると、まずはネットの一括査定サービスを利用します。
その査定結果を見て、本査定をしてもらうところをいくつか決めます。
後は、2~3社の不動産会社に家に来てもらって、査定比較するだけです。
不動産の強みを見極める
不動産会社によって強みは異なります。
良い立地のマンション売却に強い不動産会社もあれば、郊外の一戸建てに強い不動産会社もあります。
一般的に、大手不動産会社は立地や間取りに魅力がある物件売却に強く、中小は郊外の物件販売に強いという傾向があります。
各不動産会社の公式ホームページで販売実績を確認したり、掲載物件を確認したりして、強みを見極めましょう。
空き家なら専任媒介契約がおすすめ
不動産との媒介契約は3種類あります。
一般媒介契約は複数不動産会社への依頼が可能で、専任・専属専任媒介契約は一社のみとの契約です。
空き家の築年数が20年以内で魅力的なら、一般媒介契約がいいでしょう。
不動産会社間の競争意識が高まり、高額売却に期待できるようになります。
ただ、古い空き家で一般媒介契約にすると、売却を後回しにされるリスクが生じるのです。
そのため一般的な空き家なら専任媒介契約がおすすめ。
一社だけに依頼することで、その不動産会社は成約さえすれば、確実に仲介手数料を受け取れます。
積極的に営業活動を行ってくれる上、14日に1回以上の報告義務があるので、遠方に住んでいても売却活動をチェックできるのです。
営業担当が積極的にアドバイスをくれる
空き家の売却では、営業担当のレベルが重要となります。
社会人としての基本的なマナーはもちろんですが、不動産知識に精通していれば売却活動がスムーズに進むのです。
空き家売却で重要なのは、的確なアドバイスをしてくれる人。
修繕は必要なのかどうか、必要ならばどこまですべきかなど、査定段階で相談してみましょう。
また、売却までの過程や戦略を語ってくれる人は、非常に魅力的です。
工夫しなければ空き家売却は難しいので、経験と知識が豊富な営業担当がいるところに依頼しましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
使用予定のない空き家は早めに売るようにしましょう。
これから空き家数が増加し、築年数経過とともに資産価値が下がると売れないどころか処分できない物件となります。
空き家の一番の対策は早めの売却です。
使用予定がないなら、早めに売り出すようにしてください。